こんな舞台裏

 

 

懐かしささえ感じられるアッシュフォードの黒い制服を身につけながら、ルルーシュはスザクに問いかける。
「おまえ、本当にいいのか?」
「なにが?」
「おまえにとって、俺は主の敵だろう」
「そうだね。君はユフィを殺した」
「殺さなくていいのか」
「じゃあ君はナナリーを殺した僕を殺さなくていいの?」
沈黙が訪れる。
「‥‥‥質問に質問で返すのは卑怯だ」
「昔は君に対してよくそう思ってたよ」
スザクはくすくすと笑いながら、引き締まった身体に白いシャツを纏う。
「正直なところ、まだ微妙だよ」
「そうか」
「でもだからって、ここで君を殺して、僕が後を追っても、大量虐殺の責任から逃げたってことにしかならないと思うんだ」
「後を追うのは確定なのか」
「え? 君もナナリーもいない世界に、僕に何の意味があるの?」
そんな本気で不思議そうな顔で目を丸くされても。
ルルーシュはなんとなく居たたまれなくなり、目を逸らした。‥‥‥この天然タラシめ。

「だからさ」

「付き合うよ。君の歩む道を」
「‥‥‥血塗られた道だぞ」
「上等」
にやりと笑うスザクに、ルルーシュもまた不敵な微笑を返す。かつてゼロの仮面の下で浮かべていたものに似て、しかし異なるそれ。
ブリタニアにおいて最も高貴とされる彩を煌かせ、浮かべる微笑はどこまでも高貴で妖艶で挑発的な、玉座に座る者のそれ。
「では行こうか」
「あ、ちょっと待って」
なにやら心地がよくないらしいスザクは、何度も襟元を直しながら。
「肩と襟元が少しきついな。またサイズ変わったかな」
何気なく一人ごちる幼馴染に、ルルーシュの米神がひくりと波打った。ちなみに彼はまったくサイズは変わっていない。
いや、むしろ。
「あれ? ルルーシュ」
「‥‥‥なんだ」
「君やせ」
「それ以上口にしたら速達でアヴァロンに送りつけてやるぞ体力馬鹿」
「せめてクール宅急便にしてナマモノだから。君、また痩せた?」
「言うなと言ってるだろうこのKY!」
「だって事実だし。ねえC.C.?」
着替えをしていた部屋のソファで長々と身体を伸ばしているC.C.に確認をすれば、そうだなと間髪いれずに同意された。
「抱き心地は格段に悪くなってるぞ、そいつ」
「やだなあC.C.そういうのは僕に許可を取ってもらわないと」
「そいつを抱くのにおまえの許可がいるのかそれは知らなかった初耳だ」
「あははははははC.C.何ナイフを構えてるのさどこかの赤毛のテロリストみたい」
「そういう貴様こそ袖口に小柄を仕込むのはどうかと思うが」
「一番使い勝手がいいのは鉛玉なんだけどね。さすがに市販はされてないだろうから特注かな。ねえルルーシュ。それって経費で落ちる?」


あれ? ルルーシュ?
あれ?

 

 

 


ルルが一人で玉座に向かった舞台裏。
前半台無し。
C.C.はマリ様に代わってママな気分。
きっと空白の一ヶ月の間好き勝手されて啼き続けちゃったルルに改めて母性本能爆発させちゃって、ついでにしぃちゃんの恋心がミックスされちゃったんだよ★ある意味最強